Please,My Gloria!!

 出演キャスト様
キャラ名 キャスト様 台詞数
ヨハネ みや。 様 145
グレッグ 浅沼諒空 様 121
マリア 伊織 様 69
エリカ 今宮ゆう 様 48
 提出フォルダ名
pmg_お名前(半角英数字)



役名 番号 台詞 注釈
第1話「天使が来たりて笛を吹く」
【機械音】
【控えめな銃声】
ヨハネ 001_yo001 「(ヒュー!)グレッグさん、相変わらず良い腕してるぅ!」 小声で。ヒュー、は効果音で代用も
グレッグ 002_gr001 「無駄口叩くなよ、ヨハネ坊主。
奴(やっこ)さんらは、お耳がよろしいんだから、な」
な、で銃声
ヨハネ 003_yo002 「だーいじょぶっすよ、いくらロボットっつったって、さすがにこんなとこの会話は……ん」 最後は少し気づいて
グレッグ 004_gr002 「ほれ見ろ」
ヨハネ 005_yo003 「熱源感知、……このビルの裏口から、2体っすね。」
グレッグ 006_gr003 「テメェの尻はテメェで拭えよ、ヨハネ。」
ヨハネ 007_yo004 「ぶー、この対処の速さから見て、最初からばれてたんじゃないっすかー」
グレッグ 008_gr004 「うるせぇ。
そもそも、テメェの得物は近接戦闘でしか役にたたねぇんだから、こんな時くらいちったぁ働け」
ヨハネ 009_yo005 「はいはい」
グレッグ 010_gr005 「返事は一回」
ヨハネ 011_yo006 「はーい」
【少し間、足音、ドアが開く】
ヨハネ 012_yo007 「よーこそいらっしゃいまし、ポンコツさんたち」 楽しそうに、おちょくるように
【打撃音、倒れる音】
グレッグ 013_gr006 「(ヒュー)、坊主の棒遊びも役に立つもんだな」 口笛は効果音での代用も
ヨハネ 014_yo008 「へへん、こいつら、丈夫そうに見えて、実は単純な打撃に弱いんスよ。
“せーみつききの落とし穴”ってやつっすね」
自慢げに
グレッグ 015_gr007 「棒振り回してるだけに見えるけどな」
ヨハネ 016_yo009 「いや!これ結構重いんスよ!失礼な!」
グレッグ 017_gr008 「銃の勉強、早々に投げ出しやがった奴がよく言うぜ」
ヨハネ 018_yo010 「だって銃っていじるとこ一杯あって面倒なんですもん。
手入れも面倒だし、ぜってぇ俺暴発(ぼうはつ)させる」
グレッグ 019_gr009 「ばーか、面倒なのがイイんだよ、甘ちゃん」
ヨハネ 020_yo011 「それよりぃ、そっちは片付いたんスか?」 いじられたので不満げに
グレッグ 021_gr010 「おう、実に滞りなく。殲滅完了」
ヨハネ 022_yo012 「それじゃ、早速戦利品でも漁りに行きましょー!」 楽しそうに
グレッグ 023_gr011 「ああ、そうだな」
ヨハネ 024_yo013 「ふっふーん、使えそうな回路とか高く売れそうなレアメタルパーツとか無傷で残ってっかなー」 楽しそうに
グレッグ 025_gr012 「ヨハネ、ちゃんとバラす用の道具持ってきたんだろうな?」
ヨハネ 026_yo014 「その辺は抜かりなく!」
グレッグ 027_gr013 「よし、行くぞ」
ヨハネ 028_yo015 「あいあいさー!」
【足音、場面移動、向かいの廃ビル内】
【金属を漁りながら】
ヨハネ 029_yo016 「それにしても、最近増えてきたっすよねー」
グレッグ 030_gr014 「何がだ?」
ヨハネ 031_yo017 「こいつら、バグ持ちのロボットの事ッスよ。」 破壊された個体を軽く蹴る
グレッグ 032_gr015 「おい、蹴んな」
ヨハネ 033_yo018 「バラしてパーツ見てみても、一個も変なとこネェのに、
起動するとまるで自我があるみたいに反抗しやんの」
グレッグ 034_gr016 「原因がわかんねぇからバグなんだろ」
ヨハネ 035_yo019 「その上徒党組んで、政府に対して反抗軍みたいなの作ってるってんでしょ?
意味わかんねぇ」
グレッグ 036_gr017 「噂じゃあ、趣味の悪い着ぐるみのロボットが先導してるらしいが……又聞きだから信憑性はねぇな。
どうせ、反政府の人間が流したデマだろ。
ま、バグ持ちが増えてきたおかげで、俺たち“始末屋”がメシ食えてるんだからな。
悪い話じゃねぇ」
ヨハネ 037_yo020 「お偉いさんも、わざわざ俺らみたいなのに頼んないで、
国の職員増やしてロボット対策すりゃーいいのに」
グレッグ 038_gr018 「ああ、コームイン(公務員)様はいつだって批判の的だからな、
おいそれと増やすわけにゃいかんのだろ」
ヨハネ 039_yo021 「わー、めんどくさいっすねー」
グレッグ 040_gr019 「ま、お陰様で俺らが儲かるわけだ。
いいかヨハネ坊主、世の中持ちつ持たれつってやつだぞ」
ヨハネ 041_yo022 「うっす」
【少しごそごそした後】
ヨハネ 042_yo023 「……ん?」
グレッグ 043_gr020 「どうした、ヨハネ」
ヨハネ 044_yo024 「うっそ!ビル内に熱源感知!?」 動揺して
グレッグ 045_gr021 「今更かよ、増援か!?」
ヨハネ 046_yo025 「いや、増援にしちゃすっげーゆっくり移動してくるッス……。
こいつ……何だろ」
グレッグ 047_gr022 「……お前のそのハイテク義眼、ついにぶっ壊れたんじゃねーの」
ヨハネ 048_yo026 「わお、親の形見に結構な言い草っすね。
……入口の方からっす」
グレッグ 049_gr023 「行くのか?」
ヨハネ 050_yo027 「だって、気持ちわりーじゃねーッスか、アンノウン放っておくの。
いーッスよ、もしお掃除ロボがホコホコしてるだけなら、
いくらでも笑ってくださいッス」
グレッグ 051_gr024 「おう、爆笑の準備でもしとくわ」 軽口叩きつつ、少し緊張して、銃を構えて
ヨハネ 052_yo028 「……行くッスよ……」 緊張気味に
【勢いよくドアを開ける】
マリア 053_ma001 「あっ……!」 驚いて押し殺した悲鳴
グレッグ 054_gr025 「は!?」
ヨハネ 055_yo029 「っとぉ、お、女の子!?」
グレッグ 056_gr026 「なんでこんなガキがこんなところに……」
ヨハネ 057_yo030 「うわぁあああ!!」 感嘆
グレッグ 058_gr027 「なんだうるせぇな!」
ヨハネ 059_yo031 「グレッグさん!超可愛い!
この子、超可愛いッス!!連れて帰りましょ!!」
マリア 060_ma002 「えっ……!」 驚いて怯えつつ
グレッグ 061_gr028 「何言ってんだバカ」
ヨハネ 062_yo032 「だって!ふわふわの金髪に大きな青い目なんて超可愛いッス!
マジ天使ッス!」
グレッグ 063_gr029 「ばっか、お前、昔屋台で売ってたヒヨコもそうやって駄々こねて買ったくせに、
野良猫に食われちまったじゃねぇか!」
ヨハネ 064_yo033 「だ、だってアレは、まさか野良猫が蓋の重しのコンクリブロックどけてまでヒヨコ食っちゃうなんて思わないじゃないッスか!!
あれは野良猫の知恵の勝利ッス!」
グレッグ 065_gr030 「お前は野良猫以下か!!」
マリア 066_ma003 「……あ……あぅ……」 おろおろと二人を見る
ヨハネ 067_yo034 「君!」
マリア 068_ma004 「ひ……っ!!」 驚いて息をのむ
ヨハネ 069_yo035 「名前、なんていうんスか?何でここに?
よかったら、俺らと一緒に来ないッスか?」
マリア 070_ma005 「あ……えっと……」 おろおろ
グレッグ 071_gr031 「ヨハネ坊主、チビ相手にそうまくしたてるんじゃねぇや。
……おいチビっ子、名前は」
マリア 072_ma006 「……マリア」
グレッグ 073_gr032 「そうか。俺はグレッグ。そっちのはヨハネだ」
ヨハネ 074_yo036 「ヨハネッス!よろしく〜!」
マリア 075_ma007 「えっと……グレさん、ヨーくん?」
グレッグ 076_gr033 「……少し呼び方が気になるが……まあいい……。
……じゃあ次の質問だ。
なんでお前はここにいるんだ?」
マリア 077_ma008 「……えと……ここで、待ってなさいって言われた……」
ヨハネ 078_yo037 「待ってろって?なんでッスか?」
マリア 079_ma009 「……分かんない……」
ヨハネ 080_yo038 「グレッグさん、やっぱり、この子連れてきましょうよ!
こんなところに一人で残していけないッス!」
グレッグ 081_gr034 「……そうだなァ……。おい、マリア」
マリア 082_ma010 「……なぁに?」
グレッグ 083_gr035 「俺たちはこれからねぐらに帰る。
お前がここでどうしても待つっていうなら置いていくが……」
ヨハネ 084_yo039 「こんなとこで一人でいるなんてチョー危ないっす!!
だからマリア、俺らと一緒に行くッス!
帰りたくなったら送ってあげるッスから!」
マリア 085_ma011 「……うん、あの……よ、よろしくおねがいします」
ヨハネ 086_yo040 「よっしゃ!そうと決まればさっそく帰るッス!
グレッグさん、荷物お願いするッス〜!」
グレッグ 087_gr036 「馬鹿野郎、お前も担げ」
ヨハネ 088_yo041 「俺ってば、マリアをエスコートするので手一杯ッス〜」
グレッグ 089_gr037 「……明日の風呂掃除お前な」
ヨハネ 090_yo042 「ぐっ……!
わ、分かったッス、甘んじて風呂掃除するッス……!」
グレッグ 091_gr038 「はぁあ……仕方ねぇな……。よっこいしょっと……」 荷物を担ぐ
ヨハネ 092_yo043 「グレッグさん、おっさんくさいッス」
グレッグ 093_gr039 「うるせぇ、さっさと行くぞ」
ヨハネ 094_yo044 「よし、それじゃ、俺らのアジトにご案内ッス、マリア!」
マリア 095_ma012 「う、うんっ」
第2話「揺り籠にはどうぞ砂糖菓子を」
【朝の鳥の声】
ヨハネ 096_yo045 「んー……もう朝ッスかぁ……」
ヨハネ 097_yo046 「ああ、でも……
なんか今日は特にお布団さんがあったかいから……起きたくないッス……」
マリア 098_ma013 「……んー……」
ヨハネ 099_yo047 「……ん?」
マリア 100_ma014 「……ん、おはよ、ヨーくん」
ヨハネ 101_yo048 「きっ……きゃぁあああああ!!」 とりあえず悲鳴であれば
グレッグ 102_gr040 「朝っぱらからうるせーぞヨハネ坊主!!」 ドアを乱暴に開けて
ヨハネ 103_yo049 「いやぁああ!!グレッグさん見ちゃダメっす!誤解っす!俺ってばロリコンじゃないッス〜!!」 必死の弁明
グレッグ 104_gr041 「……は?」
マリア 105_ma015 「おはよ、グレさん」
グレッグ 106_gr042 「おう、おはようさん、マリア」
ヨハネ 107_yo050 「へ?へ?あれ?
俺が一夜(いちや)の過ちをやらかした訳じゃないんスか?」
グレッグ 108_gr043 「馬鹿野郎、そいつは俺らの“戦利品”だ。
おめーが可愛いから連れて帰ろうって言ったんじゃねぇか」
ヨハネ 109_yo051 「あ、あー……」
グレッグ 110_gr044 「そんで、ベッドもたりねぇし、マリアが一人だと寂しいって言うしってんで、
おめーと一緒に寝たんだろ」
ヨハネ 111_yo052 「お、思い出したッス……
良かった……俺の好みは揺るぎなく年上のお姉さまッス……」
マリア 112_ma016 「……グレさん、良い匂いする」
グレッグ 113_gr045 「おう、朝飯だ。目玉焼きとトーストくれぇだがな。
オラ、ヨハネ!いつまでも呆(ほう)けてねぇで手伝え!」
ヨハネ 114_yo053 「うっす!」
【朝食】
グレッグ 115_gr046 「うまいか?」
マリア 116_ma017 「……うん!」
グレッグ 117_gr047 「そいつは良かった。
……それじゃ、改めて自己紹介といこうか?ヨハネ坊主も寝ぼけてたしな」
ヨハネ 118_yo054 「もうパッチリ目覚めたッス!」 半濁音のぱ
グレッグ 119_gr048 「俺はグレッグだ。此処は俺らの事務所。
表向きは、探し物とか力仕事の手伝いをしてることになってる。」
マリア 120_ma018 「おもてむき?」
グレッグ 121_gr049 「最近になって本業とバランスが狂ってきたんだが、
時々政府の裏口から依頼を受けて、ロボット退治をしてる」
マリア 122_ma019 「退治するの?ロボットさんを?」
グレッグ 123_gr050 「手当たり次第にヤる訳じゃねェさ。
政府の皆様の邪魔をする、“悪い”ロボットさんだけだ」
ヨハネ 124_yo055 「そうッス!
あ、ええと、俺はヨハネっす!
グレッグさんの相棒ッス!」
グレッグ 125_gr051 「相棒なんてたいそうなもんじゃねェ。拾ったら居ついただけだ」
ヨハネ 126_yo056 「いやん、グレッグさんってば恥ずかしがり屋さん!」
マリア 127_ma020 「ヨーくんは、グレさんの子供じゃないの?」
グレッグ 128_gr052 「冗談、こんなでかいガキが居るような年に見えるか?」
マリア 129_ma021 「…………む」 悩む
グレッグ 130_gr053 「悩むなよマリア、傷つくぜ」
マリア 131_ma022 「ご、ごめんなさい……」
ヨハネ 132_yo057 「さってと!今度はマリアの番ッス。
……会った時から不思議だったんスけど、なんであんな場所にいたンすか?」
マリア 133_ma023 「わかんない……。
いきなり起こされて、あそこに居るように、って、言われた……」
グレッグ 134_gr054 「誰にだ?」
マリア 135_ma024 「……知らない人」
ヨハネ 136_yo058 「……誘拐、とかッスかね?」
グレッグ 137_gr055 「誘拐だとしても、せっかくの獲物その辺に放り出すか?」
ヨハネ 138_yo059 「……そうッスよねぇ……」
マリア 139_ma025 「……くしゅんっ」
ヨハネ 140_yo060 「どっ……ど、どうしたッスか?風邪ッスか?」
マリア 141_ma026 「……ううん、ちがうけど……くしゅんっ」
ヨハネ 142_yo061 「…………もしかして、ココすごくホコリっぽくないっすか?」
グレッグ 143_gr056 「ああ、俺らは慣れちまってるからわかんねぇが、そうかもな」
ヨハネ 144_yo062 「そうかもな、じゃねぇッス!朝飯食べ終わったら掃除ッス!」
グレッグ 145_gr057 「ああ、ハイハイ、分かった分かった。さっさと食え」
ヨハネ 146_yo063 「ウッス!」
グレッグ 147_gr058 「マリアも、よく噛んで食えよ」
マリア 148_ma027 「うっす!」 ヨハネのマネをして
グレッグ 149_gr059 「マリア、それはマネしなくていい」
【BGMかなにか変更。掃除中、バタバタとヨハネが出てくる】
ヨハネ 150_yo064 「グレッグさん!今気づいたんッスけど、
此処ってば、全然マリアの暇つぶし出来るようなもんがないッスよ!」
グレッグ 151_gr060 「分かったから、ハタキ振り回すな、ホコリが飛ぶだろ」
ヨハネ 152_yo065 「ラジオも音楽番組くらいしか聞くのないし!」
グレッグ 153_gr061 「他は政府のなんちゃらしかやってねぇんだから仕方ねぇだろ。
偏ったプロパガンダなんか聞いてたらそれこそ気が狂っちまう」
ヨハネ 154_yo066 「だから、掃除終ったら色々買いに行くッス!
絵本とか、ぬいぐるみとか!」
グレッグ 155_gr062 「マリア、お前、字は読めるのか?」
マリア 156_ma028 「うん……読めるよ、ちょっとだけ」
グレッグ 157_gr063 「それじゃ、問題ねェな。」
【電話の音】
グレッグ 158_gr064 「……はい。……ああ、お前か。
……いや?掃除中だ。
……馬鹿、部屋のだよ。
…………ああ、分かったよ。片付いたらすぐ向かう。
……別に。……わかった。それじゃあな」
【電話を切る】
ヨハネ 159_yo067 「……もしかして、仕事ッスか?」
グレッグ 160_gr065 「ああ、残念ながらな。マリア、留守番は出来るな?」
マリア 161_ma029 「うん」
グレッグ 162_gr066 「誰が来ても戸を開けないこと。電話も出なくていい。」
マリア 163_ma030 「うん、分かった」
ヨハネ 164_yo068 「あああ、折角楽しいお買いもの計画したのにッス〜……」
グレッグ 165_gr067 「仕事が終わってから帰りがけに買ってくりゃいいだろ。
そこらの店のどっか一つは開いてるだろうし」
ヨハネ 166_yo069 「うっす……。そうと決まれば、さっさと片付けてくるッス!」 ばたばた出ていく
グレッグ 167_gr068 「おい、ホウキは片してから行け」 少し遠くに呼びかけるように
マリア 168_ma031 「マリア、お片付けしてるよ?」
グレッグ 169_gr069 「お、そうか。じゃあ頼むな。
ヨハネ坊主が散らかしたあの辺の掃除道具だけでいいからな」
マリア 170_ma032 「うん、あのロッカーに入れておけばいいんだよね」
グレッグ 171_gr070 「そうだ、マリアは頭が良いな」
マリア 172_ma033 「えへへ、ありがと、グレさん」 照れて
ヨハネ 173_yo070 「ほらグレッグさん!さっさと行くッス!」 ちょっと戸口まで戻ってきて
グレッグ 174_gr071 「うるせぇ、ヨハネ坊主!テメェは得物置いてどこに行く気だ!」
ヨハネ 175_yo071 「うわぁああ、忘れてたッス〜!」 ばたばた戻ってきて
グレッグ 176_gr072 「そんじゃ、行ってくらぁ、良い子にしてろよ、マリア」
ヨハネ 177_yo072 「お土産いっぱい買ってくるッスからね〜!」
マリア 178_ma034 「うん、いってらっしゃい、ヨーくん、グレさん」 無邪気に
【ドアの閉まる音】
第3話「閑話休題」
ヨハネ 179_yo073 「ふ、あああ……」 大あくび
グレッグ 180_gr073 「口にフランスパンでもしこたま詰めてやろうか?」 新聞を読みながら
ヨハネ 181_yo074 「やめてくださいッス」
グレッグ 182_gr074 「まあ、良い天気だしな、わからんでもない」
ヨハネ 183_yo075 「いやぁ、最近規則正しい生活してるもんで、お日様とチョー仲良いッスよ、俺」
グレッグ 184_gr075 「お前が此処に来てから初めてじゃないか、そんな生活」
ヨハネ 185_yo076 「だって、マリアに夜更かしなんかさせらんないッスもん。
健全な生活チョー大事ッスよ」
グレッグ 186_gr076 「全く、マリアもずいぶんここに馴染んだもんだ」
ヨハネ 187_yo077 「そうッスねぇ……、ねぇ、グレッグさん、
新聞の探し人欄とかに、マリアを探してるような情報とか、ないんスか?」
グレッグ 188_gr077 「いや?さっぱりだ」
ヨハネ 189_yo078 「うーん……」
マリア 190_ma035 「……ヨーくん」 少し遠くから小走りで寄ってくる
ヨハネ 191_yo079 「うん?なんッスか?」
マリア 192_ma036 「このご本、なーに?」
ヨハネ 193_yo080 「うわぁ!?それ、俺のアルバムじゃないッスか!!
ど、どっから持ってきたんスか!?」
マリア 194_ma037 「……本棚にあったよ?」
グレッグ 195_gr078 「あ、この間の掃除の時に邪魔だったから本棚入れたんだわ」 さらっと
ヨハネ 196_yo081 「グレッグさん俺のプライベート!!考慮して!!」
グレッグ 197_gr079 「うるせぇ、どーせ机の隅っこに積み上げとくだけだろ。
本棚に入れといた方が見栄えがすらぁ」
マリア 198_ma038 「……でも、ヨーくん写ってないよ?」
ヨハネ 199_yo082 「え?写ってるッスよ?ほら、これもこれも、ここにいるのも俺ッス」
マリア 200_ma039 「…………でも……お顔、全然違うよ?」 難しい顔で考えた後
ヨハネ 201_yo083 「いやぁ、実は俺の両親、相当の改造フリークでねぇ、
俺ってば、生まれた時から顔だの身体だのいじり倒されてるから、
どれが本当の顔なのかよくわかんねぇンす」
マリア 202_ma040 「……おとーさんとおかーさんは、今どうしてるの?」
ヨハネ 203_yo084 「趣味が高じて、とうとう禁止されてる生体機械インプラントを勝手に使用した罪で捕まって……
結構前に処刑されたんじゃないッスかね〜。
俺はなんとか逃げたものの、生体機械インプラントをくっつけてるから、
教会にも保護してもらえなくて……
うろうろしてた所をグレッグさんに拾われて今に至るッス!」
マリア 204_ma041 「……どーして教会さんは助けてくれないの?」
グレッグ 205_gr080 「教会はロボット系の企業に多額の献金を受けてるからな。
ロボット絡みの犯罪者やその関係者を囲うと、金をもらえなくなる。
って訳で、ロボット絡みの罪を犯して教会に逃げ込んでも、
逆に身柄を差し出されて終わりってこった」
マリア 206_ma042 「……ヨーくん、つらくないの?」
ヨハネ 207_yo085 「今は何にもつらいことなんてないっす。
グレッグさんと悠々自適、フリーダムライフっす」
グレッグ 208_gr081 「早いとこ独り立ちしろよ、馬鹿」
ヨハネ 209_yo086 「無理っす!」 いい笑顔で
マリア 210_ma043 「……でも……泣きたくなったり、しない?」
ヨハネ 211_yo087 「全然!それに、愚痴とか弱音なんて、吐いても何にもなんないじゃないッスか。
まき散らかして解決するならいくらでもまき散らかすッスけど……。
それに、俺馬鹿だし」
グレッグ 212_gr082 「そうだな、下手の考え休むに似たりだ」
ヨハネ 213_yo088 「それに、大丈夫ッス!
どうしてもやばくなったらグレッグさんに一発殴ってもらうッスから!」
グレッグ 214_gr083 「ドMか馬鹿、マリア引いてるぞ」 どえむ
ヨハネ 215_yo089 「ええっ!?ひ、引いた!?もしかしてドン引きッスか!?」
マリア 216_ma044 「……ううん……ヨーくん、よしよし」
ヨハネ 217_yo090 「……!………へへ、かわい子ちゃんに撫でてもらえるだけで役得っす」 ちょっとびっくりした後に照れて
グレッグ 218_gr084 「顔面緩みきってるぞ、ノットロリコン」 Notロリコン
ヨハネ 219_yo091 「可愛い子は可愛い子ッス!それとこれとは別!」
マリア 220_ma045 「……ヨーくんは、おとーさんに会いたくなったりしない?」
ヨハネ 221_yo092 「……たぶん、もう死んでるッスから。
無理な希望は持たないのが吉ッス。
このアルバムと、目が残ってるだけで、俺はいいッス」
マリア 222_ma046 「目?」
ヨハネ 223_yo093 「親が付けてくれた義眼ッス。
結構ハイテクなんスよ!色々機能もあるし……これぞ愛ッス!」
マリア 224_ma047 「おとーさんとおかーさん、すき?」
ヨハネ 225_yo094 「好きッスよ。
確かに頭はちょっとおかしかったけど、でも、きっと俺の事、愛してくれてたんッス。
アルバム見りゃ、分かるッス」
躊躇いなく、当然のように
マリア 226_ma048 「……うん、にこにこ、してるね」
ヨハネ 227_yo095 「でしょ?」
マリア 228_ma049 「……いいなぁ……」
ヨハネ 229_yo096 「何がッスか?」
マリア 230_ma050 「……マリアの事を見てる人、いつも、難しい顔してるの。」
ヨハネ 231_yo097 「うわぁああ!
こんなかわいい子捕まえてそんなの、もったいない事この上ないッス〜!!」
ぎゅー
マリア 232_ma051 「よ、ヨーくんくすぐったい」 笑いながら
ヨハネ 233_yo098 「うーん……マリアの保護者って今どうしてるんスかね?」 ふと
グレッグ 234_gr085 「……結構日もたつのに、一切探してる気配もねェしなぁ……」
ヨハネ 235_yo099 「…ねぇマリア、マリアの保護者って、どんな人ッスか?」
マリア 236_ma052 「ほごしゃ?」
ヨハネ 237_yo100 「あー…おとーさんとか…おかーさんみたいな……」
マリア 238_ma053 「……おとーさん……みたいなの、は……エリカ」 考えながら
グレッグ 239_gr086 「エリカ?」
【電話の鳴る音】
グレッグ 240_gr087 「(舌打ち)……はい、……ああ、エリカか。
噂をすればなんとやら……いや、こっちの話だ。」
グレッグ 241_gr088 「……あ?……なんでお前がそれを知ってる?やっぱり………」
グレッグ 242_gr089 「いや……わかった。……ああ。……従うさ」 少し苦々しく
ヨハネ 243_yo101 「噂の?って……マリアの保護者ッスか?」
グレッグ 244_gr090 「ああ、マリアを連れてこいとよ。
……どうにもきな臭いが……行くしかねぇな」
ヨハネ 245_yo102 「うっす!もし危ないことがあっても、俺がマリアをばっちり守るッス!」
グレッグ 246_gr091 「おうマリア、あんまヨハネ坊主に期待すんなよ」
マリア 247_ma054 「そうなの?」
ヨハネ 248_yo103 「いや!!期待してくれていいッス!大丈夫っす!」
グレッグ 249_gr092 「おめーの大丈夫は、酔っぱらいの酔ってねぇ並に信用ならねぇんだよ」
マリア 250_ma055 「んと……グレさんと、ヨーくんに、ついてく。大丈夫」
ヨハネ 251_yo104 「ん!マリアは良い子ッス!」
グレッグ 252_gr093 「……はぁ……そんじゃ、行くぞ」
【ドアを開ける音】
最終話「世界の中心で愛を叫んで、のけもの」
【ドアを開ける音、椅子に座ったエリカが振り返る。ドア側で電子ロックのかかる音】
エリカ 253_eri001 「やあ、やあやあやあ、ようこそ、グレッグ。
電話はよくしていたけれど、顔を合わせるのは十数年ぶりだねェ」
ヨハネ 254_yo105 「あれ、グレッグさん、知り合いなんスか?」
グレッグ 255_gr094 「ああ、俺らに政府の裏から始末の仕事を流してくるお得意さん、エリカ博士さ」
ヨハネ 256_yo106 「えぇ!?エリカ博士って……男だったんスか!?」
グレッグ 257_gr095 「なんだいきなり」 面倒そうに
ヨハネ 258_yo107 「だ、だって、グレッグさんってば、
エリカ博士から仕事〜ってしか言わないから、てっきり女の人だと思ってたッス……」
グレッグ 259_gr096 「しかも勝手にボインボインのねーちゃんだと思ってたろ?」
ヨハネ 260_yo108 「おっしゃる通りッス……」
マリア 261_ma056 「……エリカは、おとーさん、みたいなの、だよ?」
ヨハネ 262_yo109 「大丈夫ッス、マリア……俺はちゃんと現実見たッス……」
エリカ 263_eri002 「なんだか知らないけど、失望させちゃってごめんねェ」
グレッグ 264_gr097 「この馬鹿は放っておいて本題だ、エリカ博士」
エリカ 265_eri003 「ああ、ハイハイ。そうだね、その為に君らを呼んだんだもの。
再会を喜んでる場合じゃないよねェ」
ヨハネ 266_yo110 「……やっぱり、アンタがマリアの保護者なんスか?」
エリカ 267_eri004 「保護者?」 意外な単語を聞いたように
マリア 268_ma057 「……え?」
エリカ 269_eri005 「……保護者、ああ、保護者ね。
そうだねぇ、そいつ……いや、そいつを含んだシステムを生んだって意味では、
親、みたいなものでもいいかな」
ヨハネ 270_yo111 「システム……ッスか?」
エリカ 271_eri006 「そうだよ、クズ共に守るべき、信仰するべき対象を与え、更生させるシステム。
この一連の出来事はそれのプロトタイプさ。
……君の後ろに居るのは、タイプマリア。一番期待値の高い外見タイプだ。
……実に、庇護欲をあおる造形だろう?」
マリア 272_ma058 「……エ、エリカ……?」
エリカ 273_eri007 「今回は約100組の始末屋にタイプマリア100体をそれぞれ引き合わせ、どんな現象が起きるか観察した。
その中にグレッグ、たまたま昔馴染みの君が居たからね、
せっかくだから僕直々に種明かししてあげようと思って。
僕の好意だよォ?」
グレッグ 274_gr098 「相変わらず良いご趣味だな、エリカ博士。
……政府様が意思持ちロボットを意図的に作ってるとはな。」
エリカ 275_eri008 「誤解だよ、グレッグ。
君たちに会わせたのは、マリア7号。単なるロボットじゃないよ。
胎児の状態から機械と融合させて、一定の思考と外見を持つように調整した生体機械だ。
バグ持ちなんかと一緒にしないでおくれェ」
グレッグ 276_gr099 「……一緒さ。反吐が出る。」
エリカ 277_eri009 「暴力行為を行われた場合は、即座に全機能を停止。ただの人形になる。
情報も漏れないし、実に有用な生体機械だと思うんだけれどねェ。」
グレッグ 278_gr100 「……興味ねぇな。
それに、わざわざお偉いさんに矯正してもらわなくても、俺らは勝手に生きていくさ」
エリカ 279_eri010 「そうはいかないんだよォ、グレッグ。
治安も悪くなってきているしねェ……何より、国民の皆様がお望みだからさ。平等をね」
グレッグ 280_gr101 「何の平等をお望みだ?」
エリカ 281_eri011 「平等とは、すなわちすべてが均等になることだ。
最終的にはねェ、全ての人間が同じ思考を持つことを、国民さまはお望みなのさァ」
ヨハネ 282_yo112 「……そんなの……ロボットとかわんねぇッス……!」
エリカ 283_eri012 「仕方ないじゃないか、
ロボットなんてもともと、人間が理想を語って作ったものだもの」
マリア 284_ma059 「……エリカは、おとーさん、じゃ、ないの?」 恐る恐る、心配そうに
エリカ 285_eri013 「やめてくれないか、お前がたぶらかすのはクズどもだけだよ。
作り出したという意味では親と定義してくれてもいいかもしれないが……
お前の本当の父親も母親もわからないねェ。
この国には子供を売りたがる親がいくらでもいるから。
まあ、殺すよりはよっぽど有用な使い方だと思うよ?」
ヨハネ 286_yo113 「違うッス!」
エリカ 287_eri014 「ん?何が違うのかな?」
ヨハネ 288_yo114 「……親は……親は子供を捨てたりしないッス。
どんな形でも、絶対、絶対愛するものッス」
エリカ 289_eri015 「……グレッグ、君の所の飼い犬は、どうも夢見がちなようだね。
……お前が思っているよりもね、親は子供なんか愛していないんだよ。」
前半はグレッグに、後半はヨハネに
ヨハネ 290_yo115 「そんなはずないッス!他に代わりなんて居ない、世界でたった一人の子供ッス……!
大事に思わない訳ないッス……!愛さない訳、無いッス……!」
エリカ 291_eri016 「ああ、なるほど……。
そうだね、お前たちにとってみれば、ソレは唯一の存在かもしれないが、僕にとっては、毎日何百体何万体と流れ作業で見るものだ。
特に何の感情も沸かないね。
……言うなれば、コンベアを流れるスパムの缶詰と同じだ」
ヨハネ 292_yo116 「やめろ!!」 飛び出す
マリア 293_ma060 「ヨーくん……っ!」
エリカ 294_eri017 「おっと」
【エリカが棒をつかんでヨハネを振り倒す】
ヨハネ 295_yo117 「いっ……この……馬鹿力野郎……」
エリカ 296_eri018 「政府関係の仕事をしているとねェ、暴漢なんて腐るほどやってくる。
心穏やかに過ごすには、対処法を学ばないと、ね」
ね、でヨハネの腹を蹴る
ヨハネ 297_yo118 「げ……っ」 悲鳴
マリア 298_ma061 「ヨーくん!」 悲鳴
エリカ 299_eri019 「……グレッグゥ……君も君だァ……飼い犬のしつけは、ちゃんとしておきなよォ……?」
グレッグ 300_gr102 「……っ」 拳銃に手をかけて、悔しそうに
ヨハネ 301_yo119 「……撤回……撤回するッス……!」 エリカの足元に縋り付いて
エリカ 302_eri020 「ん?何かな?」
ヨハネ 303_yo120 「撤回するッス……!
俺らのことはなんて言ってもらっても構わねぇッスけど……親が、子供のことをけなすんじゃねぇ……!!」
エリカ 304_eri021 「……!……ふふふ、驚いた。
この状況でよくそんな口が叩けるものだね」
少し驚いた後に笑って、
【ヨハネの胸を踏みつける】
ヨハネ 305_yo121 「がは……っ」 悲鳴
エリカ 306_eri022 「……いい加減、夢を見るのはやめろ、クズ。」 真顔
ヨハネ 307_yo122 「……ぐ……っ……」
エリカ 308_eri023 「お前の言う愛なんてな、本能に操られた錯覚でしかないんだよ。
何なら、お前のその空っぽのオツムに直接、
愛されハッピーになるおクスリでもぶち込んでやろうか?」
いつも通り口角を上げて
ヨハネ 309_yo123 「……そんなの……っ」
エリカ 310_eri024 「……知ってるぞ、よーく知ってる。
被験体を決める時にお前の資料はよーく確認したからねェ。
お前の両親は随分な改造フリークだったらしいじゃないか。
お前が一番、身を持って知ってるんじゃないか?
子供なんて、親にいいように扱われるオモチャに過ぎないんだよ」
ヨハネ 311_yo124 「違う!」
エリカ 312_eri025 「そうか?ならお前は、よほど両親に嫌われていたようだねェ?」
ヨハネ 313_yo125 「……え……?」 想像外の言葉を聞いて
エリカ 314_eri026 「お前の顔をいじったのは、お前の顔が気に入らなかったからだよ。
お前の目が気に入らなかったからだ!
お前の鼻が気に入らなかったからだ!
お前の口が気に入らなかったからだ!
お前が気に入らなかったからだよ!!」
ヨハネ 315_yo126 「ち、違う……」
マリア 316_ma062 「違うもん!
ヨーくんのおとーさんとおかーさんは、にこにこしてたもん!」
エリカ 317_eri027 「ハッ、そりゃあそうでしょ。
気に入らなかったものを思い通りに作り替えられたんだもの、楽しいよねぇ。
嬉しいよねぇ、お前の元の顔を二度と見ずに済むからねェ!」
鼻で笑って
ヨハネ 318_yo127 「……ちが……やめ、やめろ……!」 泣きそうに弱弱しく
グレッグ 319_gr103 「やめてくれるか、エリカ博士」
エリカ 320_eri028 「あ?」
グレッグ 321_gr104 「ウチの若いのをこれ以上いじめるのはやめてくれって言ったんだ。
……愛なんざ主観だ。どんな形であれ、誰も否定なんかできねぇ。」
エリカ 322_eri029 「……くっ……ふふ……そうだねェ。君の言うとおりだよ、グレッグ。
愛なんて主観に過ぎない。誰も存在を証明することはできないのさ。
不特定多数に共通認識されるような愛なんて宗教だ。
……すまないねェ、この坊主が、そんな不確かなもので僕を論破しようとするから、
つい熱くなってしまったよ。許しておくれェ」
グレッグ 323_gr105 「……ヨハネ」
ヨハネ 324_yo128 「……グレッグさん……」 半泣きで
グレッグ 325_gr106 「情けねぇ顔すんな、ヨハネ。…帰ったら一発殴ってやるから」 前のヨハネの台詞(113_yo088)を汲んで
ヨハネ 326_yo129 「……ぐす……っ……うっす」 鼻をすすった後、キリッとする
マリア 327_ma063 「……ヨーくん」
ヨハネ 328_yo130 「……大丈夫ッス……俺は、大丈夫ッス、マリア」
エリカ 329_eri030 「まあいいさ、僕に手をあげたのは不問にしておくよ。
そういうわけで、グレッグ。
そのマリア7号を、ココで壊してくれるかな?」
とても気軽に、コーヒーを頼むくらいの調子で
ヨハネ 330_yo131 「へ……?」
グレッグ 331_gr107 「……お前は、何を言っているんだ?」
エリカ 332_eri031 「はぁ……いいかいグレッグ。
実用化のためにはね、考えられる全てのパターンを検証しておかなければいけないんだよ。
出会い、これは実に理想的なパターンだった。そこの馬鹿に感謝しなければいけないね。
次に、生活。これも良い傾向だ。信仰対象の為に、健全な生活へシフトしていくのはこの研究の目的そのものだからね。
そして、信仰対象のためなら、どんな状況であれ身を投げうつことも、今確認できた。
少し難はあるが……この点は、軍事面に利用できるかもしれない。実に有用だ。
……そして最後。信仰対象を失った後、被験体はどのような反応をするか。
確認しておかなければね」
仕方なく説明するように、最後は少しワクワクする感じで
ヨハネ 333_yo132 「……失った……あと……?」
エリカ 334_eri032 「信仰対象、タイプマリアを失った後だ。
やけになってまた堕落するようでは、この研究も改善の余地がある。
タイプマリアとの思い出を聖典として、まっとうな生活を誓うなら、この研究は成功だ。
絶望して廃人になっても……まあ、活動的なクズが減る分、政府にはプラスになる。
……どんな反応をするか、実験しなくては」
ヨハネ 335_yo133 「……そんなこと、させねぇッス……!」
エリカ 336_eri033 「グレッグ、昔、君は、僕には逆らわないと誓ったね。」
グレッグ 337_gr108 「……ああ。」
エリカ 338_eri034 「義理堅い君のことだ……。命の恩人を、裏切ったりはしないだろう?」
ヨハネ 339_yo134 「……グレッグさん…?どういうことッスか…?」
グレッグ 340_gr109 「昔、こいつに命を救われたことがある……その時、俺はこいつと、契約した……。
俺が従う代わりに、良い仕事をくれるってな……。
その契約に基づいて、こいつは俺らに仕事を寄越してた。酷く割の良い、な」
マリア 341_ma064 「……グレさん……」 不安そうに
グレッグ 342_gr110 「そんな顔しないでくれや、マリア……」
ヨハネ 343_yo135 「……っ、グレッグさん……!」 縋るように
エリカ 344_eri035 「さあ、頼むよ、グレッグ」 自信満々に
グレッグ 345_gr111 「やいやい言うな。
……俺はな、もう決めてるんだ」
【銃声】
ヨハネ 346_yo136 「…………っ……あ、あれ……?」 恐る恐る目を開けて
マリア 347_ma065 「……グレさん……?」 恐る恐る目を開けて
エリカ 348_eri036 「……ふぅん、どういうつもりかな、グレッグ。
……銃口を向ける方向が間違っているよ?」
グレッグ 349_gr112 「机にくれてやった銃弾一発じゃわかんねぇか?
……もう、お前とは縁を切る」
エリカ 350_eri037 「仕事はもういらないのかい?」
グレッグ 351_gr113 「もう十分さ、隠居させてくれや」
エリカ 352_eri038 「……それじゃ、過去の罪状も含めて、政府に君を告発しても?」
グレッグ 353_gr114 「勝手にしろ。簡単にゃつかまんねーよ」
エリカ 354_eri039 「そうかい、分かったよ。
……それじゃ、警察が来るまで……ここでゆっくりしておいで。」
ヨハネ 355_yo137 「へ?」
エリカ 356_eri040 「その入り口のドアは、僕の鍵でしか開かないロックがかかっているんだよ。
だから、君たちはここから出られない。大人しく逮捕を待つだけだ」
マリア 357_ma066 「……ヨーくん……グレさん……!」 焦って
グレッグ 358_gr115 「そうかよ……。
それじゃ、お前を死出の旅の道連れにするのも楽しそうだな」
拳銃を構えて
エリカ 359_eri041 「クール!実に楽しそうだねェ、君がすぐ後を追ってくれるなら文句は無いよォ?」
【施錠機械をいじる音】
マリア 360_ma067 「……ヨーくん?」
エリカ 361_eri042 「やめた方がいい、無理にいじると防犯システムに感電させられるよ?死に急ぎたいなら止めないけどね。
どうせなら感電よりももっと滑稽な方法で死んでおくれ、つまらない」
グレッグ 362_gr116 「ヨハネ」
ヨハネ 363_yo138 「ちょっと……黙っててくださいッス……!
……解析……7と3と9……コード……青………よし!」
苦しそうに
【開錠音】
ヨハネ 364_yo139 「開いたッス、グレッグさん、マリア!さっさと逃げるッス!」
グレッグ 365_gr117 「お前、何した?」
ヨハネ 366_yo140 「親の形見、スーパーハイテク義眼のおかげッス!
しっかし、パスワード解析機能なんて初めて使ったッスよ〜……
あ゛ー頭の血管ぶち切れそう…」
ぐったりしつつ
エリカ 367_eri043 「なるほど?次のロック機構はもう少し難解にしておこう」
グレッグ 368_gr118 「……っ、よくやった、ヨハネ」
ヨハネ 369_yo141 「へへ、グレッグさんが見かけによらず向こう見ずなのはよーく知ってるッスから!」
マリア 370_ma068 「……ありがと…グレさん……ヨーくん……」
グレッグ 371_gr119 「お前のためだけじゃねェさ、マリア」
ヨハネ 372_yo142 「俺らがこうしたかったんッス!
さ、しっかりつかまってるッスよ〜!
一気に走るッス!!」
マリア 373_ma069 「……うん……っ!」 嬉しそうに
エリカ 374_eri044 「感動の旅立ちの前に、一つ良いことを教えてあげよう」
ヨハネ 375_yo143 「……っ、なんスか」 怪訝そうに
エリカ 376_eri045 「タイプマリアはプロトタイプだ。
……いつ機能停止するかもわからない。
この意味が分かるね?お前たちはそんなものに命を懸けることを選んだんだ。」
ヨハネ 377_yo144 「そんなもん、俺らだって一緒ッス」
エリカ 378_eri046 「何?」
ヨハネ 379_yo145 「俺らだって、いつ突然死ぬかわかんねぇッス。
……だから、俺らとマリア。何にも変わらねぇッス!」
【走り去る足音】
グレッグ 380_gr120 「それじゃあな、エリカ博士。二度と会わないことを願ってるよ」
エリカ 381_eri047 「ああ、せいぜい無様に逃げ回ることだね。
君の首が届いたら、居間にでも飾ってあげよう」
グレッグ 382_gr121 「そいつぁ、クールだ。楽しみにしておくよ」
【走り去る足音】
エリカ 383_eri048 「……本当に、クズは救いようがないねェ」 馬鹿にするように笑って


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